ヘッドレスCMS - APIベースの新しいコンテンツ管理システム
ヘッドレスCMSは、コンテンツの内容を管理する機能だけを持ち、「フロントエンド」つまりWebサービスやWebアプリケーションで直接ユーザーの目に触れる見た目の表示部分を持たないコンテンツ管理システムです。
見た目の表示部分 = ヘッドであり、それを持たないが故にヘッドレスCMSと呼ばれます。hacoCMSもこのヘッドレスCMSのひとつです。
次世代のCMSとして注目を集めているヘッドレスCMSは、ウェブやアプリなど異なるデバイスへのマルチチャネルパブリッシングの複雑さが増す中で、コンテンツ管理とフロントエンドを分離したヘッドレスアーキテクチャとして注目を集めています。
hacoCMSもこのヘッドレスCMSのひとつです。
従来のCMSとヘッドレスCMS
従来のCMSでは、コンテンツ管理とフロントエンド（コンテンツの閲覧・表示）が基本的に不可分となっています。
例えばWordPressは、テーマと呼ばれるテンプレートを自由に設定・編集し、コンテンツ部分とデザイン面を一括で管理出来るシステムです。しかし、コンテンツ管理とフロントエンドが一体化しているため、WordPressで管理しているコンテンツを取り出して独自のフロントエンドで表示させるようなことが難しくなっています。
一方、ヘッドレスCMSはフロントエンドを持たないため、フロントエンドを自由に開発することができます。どのフレームワークを選択するかも自由です。コンテンツをヘッドレスCMSが提供するAPIを通じて取得し、フロントエンド側で自由に利用することができます。
ヘッドレスCMSのメリット
柔軟なアーキテクチャから迅速なパフォーマンスまで、ヘッドレスCMSは多くのメリットがあります。
ハイパフォーマンス
ヘッドレスCMSは、コンテンツをフロントエンドで使用するためのAPIを提供します。
従来のCMSでは、多くの場合ウェブサイトとして表示するHTMLを動的に生成しています。一方でヘッドレスCMSの場合、静的サイトジェネレータ（SSG）などで予めHTMLを生成しておくことで、閲覧者がアクセスした時には既に完成しているファイルをそのまま表示させるだけで良いため、表示そのものがスピーディに行えるようになります。
表示速度の向上はSEOの点で有利となり、高速なレスポンスをアプリケーションに実現させることで、快適なUXを提供します。
開発者のための柔軟性
開発者は、コンテンツ管理システムの制限を気にすることなく、貴重な時間をフロントエンド（UI/UX）の開発に費やすことができます。開発者はAPIを使用してコンテンツを取得するため、CMS固有のテンプレートを学習したり、あまり馴染みのないフレームワークを使用したりする必要はありません。開発者はコンテンツの構造と外観を完全に制御でき、最適なフレームワークとツールを選択することができます。
スケーラビリティの向上
ヘッドレスCMSでは、コンテンツ管理とフロントエンドが分離されているため、万が一CMSにパフォーマンスの問題が発生したり、メンテナンスが必要な場合でも、ウェブサイトにダウンタイムが発生することはありません。
複数チャンネルへのコンテンツ配信
ヘッドレスCMSは、APIを通してコンテンツを複数のチャネルに配信することが可能です。一度コンテンツを作成しておけば、ウェブサイトやアプリなど、それぞれのプラットフォームに効率的に配信することができます。
強化されたセキュリティ
ヘッドレスCMSは、Jamstackアーキテクチャ上に構築できるため、従来のCMSがもたらすセキュリティリスクはなく、セキュリティ面において不安な方にもおすすめとなっています。さらに、静的サイトジェネレータでサイト生成時にのみAPIアクセスを行う場合は、エンドユーザーからCMSのバックエンドを隠すことができるため、サーバー攻撃の影響を受けにくくなっています。
Jamstackとは
Jamstackはフロントエンドのウェブ開発のアプローチのひとつです。APIから取得したデータから静的サイトジェネレータを使って静的HTMLを生成し配信することで、高速でセキュアなウェブサイトを構築します。
静的サイトジェネレータとは
静的サイトジェネレータは静的なHTMLで構成されたWebサイトを生成、作成するツールです。英語名ではStatic Site Generator（SSG）と書きます。ヘッドレスCMSを用いたウェブサイト構築によく使用されます。
ヘッドレスCMSをサポートするフレームワーク
シンプルなウェブサイトを開発する場合でも、ユーザーの操作に反応するインタラクティブなモバイルアプリを開発する場合でも、フレームワークには多くの選択肢があります。ヘッドレスアーキテクチャと組み合わせることで、柔軟なコンテンツ管理システムを手に入れることができます。
ヘッドレスCMSをサポートする主要なフレームワークの概要をご紹介します。
Next.js
Next.jsは、JavaScriptでUIを構築するためのライブラリであるReactに、ウェブサイト構築のための機能を加えたフレームワークです。JSXと呼ばれるReactの拡張機能を使って、ウェブサイトのコンポーネントをHTMLと似た見た目の構文でJavaScriptの中に直接書くことができます。
Gatsby
Gatsbyは、静的サイトジェネレータ（SSG）で、Reactをベースに開発されているフレームワークです。
ヘッドレスCMSをはじめとする様々なデータソースをGraphQLで画一的に扱えることが特徴で、ウェブサイト全体を静的に配信可能である場合に力を発揮します。
Nuxt.js
Nuxt.jsはVue.jsがベースになっているJavaScriptフレームワークです。単一ファイルコンポーネントという形式でテンプレート（HTML）・CSS・JavaScriptを1つのファイルにまとめて書ける特徴があります。
ヘッドレスCMSが必要な理由
コンテンツやサービスを新規に構築、または改修するにあたって、ヘッドレスCMSを選択する理由はたくさんあります。
フロントエンドの柔軟性
大きな利点は、開発者が自由にツールとフレームワークを使用してウェブサイト、モバイルアプリなどを構築できるフロントエンドの柔軟性です。
特に既存プロダクトにメディアを組み込む際に、APIとして言語問わず導入できる点は大きなメリットとなります。
将来性のあるテクノロジー
ヘッドレスCMSはAPIを通してコンテンツをやり取りするため、将来登場する新しいテクノロジーとも簡単に共存できます。
コンテンツ制作と開発との分離
フロントエンドをCMSから分離することで、コンテンツの編集者とフロントエンドの開発者が並行して作業を行うことが可能になります。コンテンツ編集者はコンテンツを迅速に更新でき、開発者はより戦略的に重要な作業に取り組むことができます。
ヘッドレスCMSが不要な理由
ヘッドレスの利用が向かないケースもあります。以下のような状況では、従来のCMSを使い続けるというのも選択肢のひとつです。
フロントエンドの開発ができない
ヘッドレスCMSは見た目の表示部分（ビュー）を持たないため、フロントエンドの開発が必要になります。これにより技術習得と予算の制約が発生する場合があります。
コンテンツの更新がほとんどない
コンテンツの更新がほとんどなく、配信プラットフォームが固定されているような場合、無理にヘッドレスCMSを導入する必要はないでしょう。ただし、従来のCMSで機能変更やアップデートが行われた際、プラグインが使えなくなったり、保守が打ち切られるといったケースもあるため注意が必要となります。
結論
結局のところ、ヘッドレスCMSを使うべきかどうか？
ヘッドレスCMSについてご理解いただいた上で、弊社からできることは「まずはお気軽にご相談ください！」というご提案です。
ヘッドレスCMSを使うべきか？それとも従来のCMSを使うべきか？という判断には、実際にはさまざまな選択肢があり、ビジネスと予算の要件に一致するかどうかは時と場合によります。
ヘッドレスCMSは、複数のプラットフォームにまたがるコンテンツの公開からコンテンツの頻繁な更新まで、利用者の方に多くの問題を解決してくれるという事に違いはありません。
hacoCMSでは、安心かつ納得できる形で検討できるよう、全力でサポートさせていただきます！